経営者が知るべき企業売却の鍵
経営者が企業を売却する際、M&Aでの株式譲渡が一般的。企業価値の算定や買い手探しには専門業者の協力が重要。株主確認と譲渡制限への注意が必要で、成功の鍵は自社の強みをアピールすること。事前に磨き上げと企業概要書の準備が欠かせず、株式譲渡が主流の中、戦略的なアプローチが重要です。
株式譲渡の手続きと企業価値評価の重要ポイント
株式譲渡の手続き、留意点、そして売却可能な企業とそうでない企業の特徴について解説いたします。会社の売却価格の決定において重要なポイントやM&Aにおけるバリュエーションの手法、さらには売却価格に影響を与える要因についても明かしていきます。
【企業価値の算定方法】M&Aにおいては、客観的な評価のために「企業価値評価(バリュエーション)」が行われ、その結果を基に売却価格が設定されます。中小企業では一般的に、「コスト・アプローチ」が採用され、貸借対照表の純資産を基にした「年買法」が利用されます。この際、「時価純資産法」や「のれん(営業権)」が組み合わさり、買い手にとっての付加価値である買収プレミアムが発生することがあります。
【株式譲渡の流れ】中小企業の売却において一般的な手法は、「株式譲渡」です。この方法では、買い手が売り手の株主から株式を取得し、対価として金銭を支払います。経営権が譲渡される一方で、会社自体は変わりません(包括承継)。一部の買い手は債務やリスクを回避するために「事業譲渡」を選択することもあります(特定承継)。
【株主の確認】株式譲渡に際して、経営者は「株主名簿」を確認し、各株主とその保有割合を把握する必要があります。また、株式に譲渡制限がある場合、株式譲渡には取締役会や株主総会の承認が必要であり、「非公開会社(株式譲渡制限会社)」と呼ばれます。譲渡が行われた後は「名義書換請求」を通じて株主名簿が更新され、株式譲渡が完了します。
買い手の探し方と成功の鍵
【買い手の探し方】企業が買い手を見つける際には、M&Aの専門業者に依頼することが一般的です。M&A専門業者との契約締結は事前ステップであり、その中で「仲介形式」と「アドバイザリー形式」の二つの契約形態が存在します。買い手候補の選定はデータを基に行い、「ロングリスト」と「ショートリスト」の作成が行われます。
【成功の鍵】自社の強みを活かし、買い手にアピールすることが成功の鍵です。それにはM&Aのプロセスに入る前に「磨き上げ」が欠かせません。組織や事業の問題を解消し、強みを明確化するための取り組みが必要です。また、M&Aの前段階で提出される「企業概要書(IM)」には正確な情報の提供と磨き上げでの強みアピールが求められます。
【まとめ】M&Aには様々なスキームが存在しますが、中小企業が売却の際には「株式譲渡」が一般的です。企業価値の向上のためには十分な磨き上げを行い、売却戦略を構築することが肝要です。