役員の副業と社会保険・雇用保険の加入条件について
役員の副業や兼業の場合、社会保険と雇用保険の加入条件は一般の従業員と異なる。役員報酬がある場合、条件を満たす場合には社会保険と雇用保険に加入する必要がある。具体的な条件や手続きは専門家に相談することが重要。
副業・兼業における社会保険と雇用保険の加入条件とは?
こんにちは。社会保険労務士の大石です。副業や兼業をすることで、1つの会社に縛られずに働くことができるようになりました。その結果、複数の収入源を持つ人も増えていますね。
副業や兼業をしている従業員の場合、社会保険と雇用保険の加入方法についてご存知ですか?これに関するルールを知らないと、加入すべき人が加入していないという問題や、不要な重複加入が起きてしまう可能性があります。その結果、誤った保険料の支払いや未払いが発生してしまうこともあります。
副業や兼業を認めている会社では、加入のルールを把握する必要があります。今回は、「副業・兼業」と「社会保険」と「雇用保険」について解説していきます。
<副業&兼業>社会保険のルールとは?
副業や兼業をしている人は、どちらの会社でも社会保険の加入条件を満たしている場合、重複して加入する必要があります。以下の条件が加入条件となります。
<社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入条件>
条件①:勤務先が社会保険の適用対象となる事業所であること
条件②:1週間の所定労働時間または1ヶ月の所定労働日数が正社員の4分の3以上
条件③:以下の全ての条件を満たすこと
1週間の所定労働時間の合計が20時間以上であること
1ヶ月の賃金が88,000円(年収106万円)以上であること
1年以上継続して雇用の見込みがあること
被保険者の従業員が500人を超える事業所であること
学生ではないこと
会社員として働きながら起業し、会社の役員となる場合、社会保険の加入についてはどうなるのでしょうか?
●役員報酬がない場合
起業した会社の役員報酬がゼロ円の場合、その会社で社会保険に加入する必要はありません。会社員として雇用されている会社での社会保険に加入し、保険証を通常通り利用することができます。
役員報酬がある場合の社会保険と雇用保険の加入条件と手続き
●役員報酬がある場合
起業した会社の役員報酬がある場合、その会社でも社会保険に加入する必要があります。社会保険の加入条件として、「週30時間以上の勤務」というルールがありますが、役員の場合は短時間の就業でも報酬が支払われている場合は社会保険に加入する必要があります。ただし、役員ではなく従業員として雇用されている場合、役員報酬の有無に関係なく、従業員としての条件を満たしている場合には、従業員としての社会保険加入が必要です。
具体的な加入条件は、前述の社会保険の加入条件と同様です。役員としての報酬がある場合でも、以下の条件を満たしている場合には、従業員としての社会保険加入が必要です。
勤務先が社会保険の適用対象となる事業所であること
1週間の所定労働時間の合計が20時間以上であること
1ヶ月の賃金が88,000円以上であること
1年以上継続して雇用の見込みがあること
被保険者の従業員が500人を超える事業所であること
学生ではないこと
役員としての報酬がある場合、役員報酬に対して社会保険料が課されます。具体的な社会保険料の計算方法や手続きについては、社会保険労務士や専門家に相談することをおすすめします。
なお、雇用保険についても、役員としての報酬がある場合は、役員報酬に対して雇用保険料が課されます。雇用保険の加入条件や手続きについても、専門家に相談することが重要です。
副業や兼業をする際には、社会保険や雇用保険の加入条件をしっかりと把握し、適切に手続きを行うことが重要です。労働条件や保険料などについては、最新の法律や制度に基づいた専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。